実験研究で最も楽しいのは,予想と結果に違いがあり,深く考えさせられることでしょう.教員も学生も毎日その体験を共有し,様々なアイデアや仮説が飛び交います.流れを簡単に操ることができない点に流体力学の醍醐味があり,そのメカニズムを説明する試みに世界中の研究者が夢中になり,楽しんでいます.その中で,研究室の教員が学生に問うのは,あらゆる方向からの「なぜ」です.どうしてそのような問題設定をしたのか,なぜその方法でデータ処理したのか,それをすることで何が発見できそうか.やがて学生は研究構想を自ら創作し,自分のものとして操れるように急成長していきます.研究に自走力がつき,試してみたいことが山積みになっていきます.学会発表や論文執筆など成果発表の場でも,説得力のある構成が自然にできるようになる,そんな仕掛け作りをしています.
修士課程の大学院生は,外部連携による指定課題と,自分の好きな構想で進める自由課題の2つを担当しています.指定課題では,科研費など官公庁委託研究,民間企業からの受託研究,海外連携大学との共同研究に貢献してもらい,チームワークと責任を身に付けることができます.自由課題では,流れ制御研究室が保有する大型実験設備,最新の計測機材,内外の人的ネットワークを自由に活用し,修士論文に向けて何かしらの「世界初」を目指してもらっています.このような活動から新たな自分の能力を見出し,博士課程に進学する学生が多いのも流れ制御研究室の特徴です.博士課程の学生は,ほぼ全員が日本学術振興会の特別研究員に採用され,国から給与を受けて世界を驚かす研究に日夜,励んでいいます.実力を身につけた博士号取得者は,内外から声がかかり,大学の学者,国研の研究者,大手企業の研究員として就職し,北大・流れ制御研究室の出身者として大いに活躍しています.
LFCでは,大学院生を対象として国際共同研究による教育プログラムを実施しています.学生は国際インターンシップ生として2〜3ヶ月海外の研究機関に滞在し,卒業研究で身につけたスキルを駆使して共同研究に受持します.語学留学とことなり,研究計画や準備から研究成果の公表まで,学生は積極的かつ責任をもって活動に臨むことが求められます.我々は,この教育プログラムが学生を大きく成長させると信じています.研究室が現在の体制になった2002年からこれまで,延べ67名の学生を派遣しており,これは研究室に在籍した修士課程学生の8割以上に相当します.この活動は,大学や研究室による支援により実施されており,学生は多額の経費を支払う必要がありません.派遣機関は世界中に広がっていますが,主には欧州の研究機関となっています.主なところでは,スイス・連邦工科大学チューリッヒ校,イギリス・ウォーリック大学(コヴェントリー),同・マンチェスター大学,ドイツ・ヘルムホルツセンター(ドレスデン),フランス・コートダジュール大学(ニース),同・ノルマンディー大学(ル・アーブル),同・ストラスブール大学などです.欧州の派遣機関ならびに派遣学生数は下の図にまとめられています.こういった活動に興味がある学生は,研究室教員までコンタクトして下さい.詳細を説明します.
日本学術振興会(JSPS)の博士特別研究員(DC1,DC2)に採択された場合,研究費の他,生活費として使用できる支援費が支給され,海外の研究機関に所属する博士課程学生並みの安定した研究活動が可能になります.LFCとしては,博士課程学生に「独立した研究者としての活動」を奨励しており,特別研究員への申請,準備から申請書の添削などまで,を強く支援しています.その甲斐もあってか,これまでに,留学生を含めたほぼ全ての博士課程学生が特別研究員に採択されています.以下は採択学生のリストです.LFCで博士課程への進学を考えている学生は,早めに相談して下さい.
FY2022 | K.Ohie (DC1) |
FY2021 | D.Yoon (DC2) |
FY2020 | T.Tanaka (DC1), N.Tiwari (DC2) |
FY2019 | D.Noto (DC1), K.Nakamura (DC2) |
FY2018 | T.Yoshida (DC1) |
FY2014 | H.J.Park (DC2) |
FY2013 | T.Shiratori (DC1) |
FY2012 | T.Watamura (DC1) |